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飼ってみた!

潮干狩りとは別にカイカキSHOPにはアクアリウムの趣味もありまして、今では普通にサンゴや熱帯魚を飼育してるのですが、そのきっかけになった最初の動機が実は「ハマグリって飼えないのか?」でした。カイカキの着想よりも早く、2008年のシーズン中だったと思います。

システムをどうするか

友達などすでにアクアリストがいたので、システムなどの知識はそれなりにあったものの、二枚貝を専門に飼うようなジャンルはなくて、どうやって飼えばいいのか、貝の生態を調べて自分でシステムを考えるしかなかったわけですね。

で、とりあえず一般的なフィルターとポンプ、それに水温調整用のヒーターとクーラーの組み合わせで始めてみます。餌になる浮遊藻類等が一定量ないと餓死してしまいますから、ろ材はごく少量だけ、もしくは無しにしました。底砂は大型のハマグリや深く潜るマテガイ(稚貝)などを飼うには15cmぐらい敷きたいのですが、現地から何十kgも運んでこれませんから(とはいえ30kgぐらい運んだ)、下部は市販のサンゴ砂等で代用して上半分だけ現地調達。海水は市販の海水の元を使って現地の海水の濃度に合わせて作ります。まあミネラルやバクテリア類は底砂由来で現地の環境が再現されるでしょう。

という形で組んだのが上の写真です。1代目の60cmと2代目の90cm。水が落ち着くのを待って貝を入れるとすぐ潜っていきます(写真右)。

干潟の生き物たち

左の写真、砂の表面にハマグリが水管を出してるのですがわかりますか?

この水槽の最大の欠点は、みんな砂に潜ってしまってどこにいるのかわからなくて、ちっとも面白くないことです(笑)。

そういうわけで他にいろいろと干潟で捕まえてきた生き物たちにも入ってもらいました。ハゼやギンポを何種類か、あとヤドカリやフジツボなどなど。ゴカイやイソメは釣具屋さんからやってきました。2cmぐらいのワタリガニの子供を捕まえてきて入れたら、どんどん大きくなって貝を掘り出して食べようとするので、途中で別の水槽に引越してもらいました。

一番右の写真は殻長15cmぐらいになったワタリガニ。ハマグリ抱えてます。名前は「わるもの」。潮干狩りで採ってきたシオフキなどはバリバリ割って食べてしまいますが、ハマグリはツルツルしていてしっかり挟めず最後まで食べることはできませんでした。

 

泳ぐハマグリ

熊本のポイントで1cm未満のハマグリを見つけてきて、いくつか水槽に入れてみたときのこと。ひとつふたつと砂に潜り始めたなと思って見てると、そのうちの1個がいきなりスーーーッと砂の上を滑るように泳いでいくんです。結構なスピードで、2、30cmぐらいの距離を進んで水槽の端の方で止まりました。殻もほとんど閉じたままで、まったく泳ぐどころか動きそうにもない状態からいきなりです。そんな動き方をするとはまったく知らなかったのでかなりビックリ。その後2、3回同じように泳ぐのを見ましたが、砂に潜って落ち着いてしまうともう見る機会はなさそうです。

調べてみると、ハマグリには粘液を潮の流れに乗せて凧のようにして(?)泳ぐ能力があるのだとか。そういえば実際の干潟でも、あるとき急にハマグリが増えたりいなくなったりしますが、そうやって何か条件によって海中を移動してるんでしょうかね。

水槽で実際に泳ぐのを観察できたのは、1cm未満の小さな個体だけでしたが、大きな個体だと粘液を展開するのに水槽が狭すぎるのでしょうか。しかしなにも記録に残せなかったのが悔やまれる。今後なにか機会を見つけて、ぜひ動画に残してみたいと思います。

エサ不足?

貝の餌の浮遊藻類やいろんな有機物が海水中からなくなるのはまずいので、フィルターにはろ材を入ません。ですが貝のろ過能力(食い意地?)はすごいもので(砂中のバクテリアなども働いてるのでしょうけど)、みるみる水は澄んでくるのです。現実の干潟では川から流れ込んだり潮が満ちたり引いたりしてどんどん新しい濁った水が供給されるのですが、水槽でそれを再現するにはどうしたらいいんでしょうね?

植物性の魚の餌を溶かして混ぜるとか、屋外の別の水槽で藻類を湧かすとか、はては野菜ジュースや豆乳を加えるなどいろいろ試してみましたが、はっきり言って効果があるのかどうか検証のしようがないわけです。小さな試験水槽をいくつも用意してまずは実験してみるべきでしたね。そうこうしてるうちに貝が弱って、最後は砂の上に出てきてしまいます。左の写真はアサリですね。砂が合わなかったということもあるかもしれませんが。

結局アサリもハマグリも長く生きて半年が最長でした。逆にいうと上手くやれば数ヶ月間は生かしたまま保存できるということでもありますが。

飽きました(笑)

漁業の現場ではアサリやハマグリの蓄養(?)などが行われてるような話も聞きますけど、実際どうやってるのでしょうね。海水を引いてくるのでしょうか。水槽での試みはなんだかんだ2シーズンぐらいやってましたが、餌の問題が解決しないまま「長期飼育は無理だ」という結論に至りました。今は干潟の生き物たちを飼ってたものがどんどん発展して、普通にサンゴと熱帯魚を飼うようになってしまいました。サンゴの方がずっと簡単ですね。

 

とはいえ「砂しかない水槽」というのもシュールで実は気に入っていたのですけどね。まあ興味のある方はトライしてみてください。

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