なにしろマンションの一室でちまちまと手作りですから本来あまり人にお見せできるものでもないのですが、これもやはり自分で作ってみたいという熱心な方にはなにかしら参考になるだろうと思いますし、個人的には販売価格があまりお安くできないことへの言い訳として(笑)、とりあえず載せておこうと思うわけです。

刃の材料です

1.5mmのステンレス板を10mm幅で必要な長さに切ってもらったものです。試作段階ではこの後の穴あけや曲げ加工まで金属加工業者にお願いしようと思って打ち合わせていたのですが、業者の持つ汎用機械では対応できなかったり、手間暇かかる(もしくはお金がかかる)ということで諦めて、材料を切ってもらうところまでお願いすることになりました。あとは全部自分でやらないといけません。

シャーリングという機械で切るので、各切断面にバリが出ていたり全体に歪みやねじれが出ていたりします。まずはこれを真っ直ぐに矯正して、バリはヤスリで落とします。これがまた手間のかかること。いろいろ治具などを工夫しても1本処理するのに30分ぐらいかかります。レーザーで切るとこの工程はほとんどなくなるのですが、そこにもまたコストの壁があるわけです。

下拵え

矯正とヤスリがけが終わって、穴あけと曲げ加工の位置を罫書いたらこんな状態になります。

穴あけ

卓上ボール盤を入手したので、以前電動のドリルドライバーでやってた頃と比べると随分楽になりました。ステンレスの穴あけは実はちょっとコツが必要で、業者が嫌がるんですよね。材料に粘り気というか刃にまとわりつく性質があるので、ドリルを滑らせてしまうとすぐ焼き付いたり刃が鈍ったりします。これは可能な限り低い回転数で確実に刃が材料に入ってる状態を維持することで回避します。それと切削油。軽く考えて適当なオイルを使ってたときと比べると、ちゃんとステンレス用の切削油を使った場合は3、4倍刃の持ちが違いました。正しい注しかたも知らなかったからですね。切削面も格段に綺麗になりました。

曲げ加工

曲げたらとりあえず刃は完成です。工場だとプレス機に径に応じた金型をセットして、何本かまとめて綺麗に曲げちゃうんでしょうけど、そういう設備はないので一本一本手曲げです。バイスに挟んでプライヤーを使って曲げます。慣れないうちは型紙に当てながら何度も調整しますが、数やっていくと角度はだいたい合うようになります。まあ材料もそんなに硬くないので曲げる作業自体はそれほど大変じゃないんですが、この方法だとどうしても若干の捻れが出てしまうので、それをいちいち確認して矯正するのが手間ですね。

グリップの部品

ルアー工房から出来上がってきたウレタン製グリップの部品。初回ロットでは色の検討が間に合わなかったので、樹脂の基本色(?)のアイボリーになりました。いろいろ試作してみて、次回からは色付きにしようと思います。

バリを除いて接着面の下処理やビス用の穴あけ加工をします。

​※2017年以降、グリップは分割式をやめて一体成型になりました。顛末は漁業用開発のトピックで。

※2019年からグリップ強化のためABS樹脂を使用しています。

顛末はこちら

※2020年から金型を使った射出成形に切り替えました。

顛末はこちら

完成

ビスで刃を取り付けると完成です。

 

※通販の場合は、輸送中に変形したりするトラブルを回避したり送料を節約する意味からも、刃を取り付けずに、グリップと刃をそれぞれバラバラの状態でお送りします。同封のビスで刃を取り付けて使用してください。

ハマグリ専用モデルの場合

ハマグリ専用モデルはグラインダーで片刃に削り出す作業があります。これはさすがに自宅マンション内でやると騒音でクレームが出ますから、最初は実家など、2018年からは友人宅にある作業場を使わせてもらって作業してます。

削るのは先端部分と両サイドの3辺。曲げ終わった刃の材料をグラインダーに当てて、だいたい1本あたり15分ぐらいかかります。特に治具もなく手の感覚でやってますけど、最初の頃に比べるとだいぶ綺麗に削れるようになりました。研磨面が黒くなってるのは熱で酸化してるからですが、これは1度使うと砂で擦れて消えてしまいます。

​グラインダーで削ったあとはバリをヤスリで落として歪みを修正して完成。